CASES

想定されるケース

相続・遺産分割で不動産鑑定評価がどのように機能するのかを、典型的な4つの場面でご紹介します。

※ 以下はいずれも、相続の実務で典型的に生じる状況を想定して構成したケースであり、当事務所が取り扱った特定の事案ではありません。

CASE 01代償分割

実家を長男が取得したいが、代償金の額で弟と対立している

状況

父が亡くなり、相続財産の大半は長男家族が同居してきた実家(土地・建物)。長男は住み続けることを希望し、弟には代償金を支払う方向で話が進んでいます。ところが長男は「古い家だからそれほどの額ではない」と考え、弟は「この立地なら売ればもっと高い」と考えており、代償金の額で折り合えません。

論点

代償分割では、不動産の評価額の差がそのまま代償金の差になります。双方が自分に有利な金額を前提にしている限り、話し合いは平行線をたどります。金額の土台がないことが対立の原因です。

鑑定評価がどう機能するか

不動産鑑定士が、不動産鑑定評価基準に従って実家の時価を評価します。鑑定評価は依頼者がどちらの相続人であっても同じ基準で行われるため、「兄の言い値」でも「弟の言い値」でもない第三者の金額を話し合いの土台に置けます。相続人全員での共同依頼であれば、なおのこと双方が受け入れやすい資料になります。

成果物の型

協議段階であれば価格等調査報告書、調停・審判まで見据えるなら鑑定評価書。代償金の計算にそのまま使える評価額を、根拠とともに示します。

CASE 02路線価と時価の乖離

路線価ベースの遺産分割案に、二男が疑問を持っている

状況

長男が相続税申告に使った路線価ベースの評価額をそのまま使って遺産分割案を作成。都心のマンションを取得する長男に対し、預貯金を受け取る二男は「あのマンションの実勢価格は申告の評価額よりずっと高いのではないか」と疑問を持っています。

論点

路線価や相続税評価額は課税のための価格であり、時価の8割程度を目安に設定されています。都心のマンションなどでは実勢価格との乖離がさらに大きくなることがあり、相続税評価額で分けると、不動産を取得する相続人が有利に、金銭を受け取る相続人が不利になり得ます。

鑑定評価がどう機能するか

対象不動産の時価を鑑定評価し、相続税評価額との差を具体的な金額で示します。「なんとなく安すぎる気がする」という感覚を、根拠のある数字に置き換えることで、分割案の修正協議が具体的に進められます。

成果物の型

まず価格等調査報告書で時価の水準を把握し、協議がまとまらなければ鑑定評価書に進む二段構えが選びやすい類型です。なお、相続税申告における評価の採否は税理士の職域ですので、申告に関わる場合は税理士の先生にご確認ください。

CASE 03遺留分侵害額請求

遺言で不動産を受け取ったら、遺留分侵害額請求を受けた

状況

「全財産を長女に相続させる」という遺言により自宅と賃貸アパートを取得した長女に対し、他の相続人から遺留分侵害額請求の内容証明が届きました。請求額の前提となっている不動産の評価額は、根拠のはっきりしない高めの金額に見えます。

論点

遺留分侵害額は、相続開始時(亡くなった時点)の財産の時価を基礎に計算されます。不動産の評価額が変われば請求額も直接変わるため、評価額の妥当性が争いの中心になります。過去の時点の価格が必要になる点も特徴です。

鑑定評価がどう機能するか

不動産鑑定評価では、価格時点を相続開始時に設定した遡及評価が可能です。相続開始時点の時価を鑑定評価で確定させることで、請求額の前提を検証し、交渉や調停で反論の根拠として示せます。相手方が評価資料を出している場合は、その内容を検証するセカンドオピニオンから入ることもできます。

成果物の型

相続開始時点を価格時点とする鑑定評価書、または相手方資料への意見書。請求する側・された側のどちらの立場でも承ります。法律上の主張の組み立ては弁護士の職域ですので、代理人の先生と連携して進めます。

CASE 04権利関係の絡む評価

借地権付きの実家をどう分けるか、話が進まない

状況

実家の建物は父名義ですが、土地は地主から借りている借地です。相続人は3人。借地権付き建物がいくらなのか誰にもわからず、「売れるのか」「地主との関係はどうなるのか」もあいまいなまま、遺産分割協議が止まっています。

論点

借地権は所有権と異なり、取引事例が少なく、地域の慣行や契約内容によって価値が大きく変わります。仲介会社の無料査定では価格を出しにくい典型的な類型で、金額の土台がないまま協議だけが長引きがちです。

鑑定評価がどう機能するか

土地賃貸借契約の内容・地代の水準・借地権の取引慣行を分析し、借地権付き建物としての時価を鑑定評価します。権利関係が複雑な不動産の評価は、不動産鑑定士の中心的な業務領域です。評価額が定まれば、誰が取得するか・代償金をいくらにするか・売却して分けるかの選択肢を、金額を前提に比較できます。

成果物の型

借地権付き建物の鑑定評価書。地主との契約関係など法律上の論点が絡む場合は、弁護士の先生への相談をおすすめしたうえで連携して対応します。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません

物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。

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