実家を相続したら最初に何をするか──分け方が決まるまでの全体像
親が亡くなり実家が遺産に含まれるとき、何から手を付ければよいのか。相続人と財産の確定から遺産分割協議、名義変更までの流れを整理し、不動産の評価がどの段階で必要になるかを解説します。

親が亡くなり、実家をどうするかを考えなければならなくなった——。悲しみの中で手続に追われる時期に、全体像が見えないまま個別の作業に飛び込むと、順番を間違えて手戻りが生じます。まず「分け方が決まるまでの道のり」を俯瞰しておきましょう。
大きな流れは4段階
- 相続人の確定:戸籍をさかのぼり、誰が相続人なのかを確定します
- 財産の調査:不動産・預貯金・有価証券・負債を洗い出し、財産目録を作ります
- 遺産分割協議:遺言がなければ、相続人全員で分け方を話し合います
- 名義変更・分配:合意内容に沿って、不動産の相続登記や預貯金の解約を行います
遺言がある場合は原則としてその内容が優先されますが、相続人全員の合意があれば異なる分け方も可能です。なお、相続税の申告が必要な場合の期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。税務上の取扱いは税理士にご確認ください。
実家が「分けにくい財産」である理由
預貯金は1円単位で分けられますが、実家は物理的に分割できません。そこで、誰かが取得して他の相続人に代償金(不動産を取得する代わりに支払うお金)を払う、売却して代金を分ける、共有にする、といった方法から選ぶことになります。
どの方法を選ぶにしても、議論の出発点になるのは「実家がいくらか」です。ここが曖昧なまま話し合いを始めると、分け方の議論と価格の議論が絡み合い、収拾がつかなくなりがちです。分け方の選択肢については遺産分割の4つの方法もご参照ください。
評価はどの段階で用意するか
財産目録を作る段階では、固定資産税の納税通知書に載っている評価額を仮置きすることが多いです。ただしこの数字は課税のための価格で、市場で売れる価格(時価)より低いのが通常です。
本格的に分け方を話し合う段階、特に代償金の金額を決める段階では、時価ベースの資料が必要になります。相続人どうしの関係が良好なら仲介会社の査定でも出発点にはなりますが、意見が分かれそうな場合は、利害関係のない不動産鑑定士による評価が話し合いの土台になります。
まとめ
- 流れは「相続人確定→財産調査→遺産分割協議→名義変更」の4段階
- 実家は物理的に分けられないため、「いくらか」が分け方の議論の出発点になる
- 財産目録は固定資産税評価額の仮置きでも、代償金の交渉には時価の資料が必要
当事務所では、話し合いの段階に応じて価格等調査報告書と鑑定評価書を使い分けたご提案をしています。「まだ何も決まっていない」という段階のご相談も歓迎します。
免責事項
本記事は不動産鑑定評価の観点からの一般的な情報提供を目的としています。個別の税務に関する助言は税理士、法務に関する助言は弁護士など各専門家へお問い合わせください。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新の制度・判例等により取り扱いが変わる可能性があります。
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